NO.56 旅(りょ="Sojourning"):旅の在り方、自分を探す旅

 "Sojourning"sb

旅(りょ="Sojourning")



⚊ 6th:陽:上69(Upper9)
⚋ 5th:陰:65
⚊ 4th:陽:94
⚊ 3rd:陽:93
⚋ 2nd:陰:62
⚋ 1st:陰:初6(First6)

※上9(Upper)、65、94、93、62、初6(First6)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。

旅(りょ="Sojourning"):旅の在り方、自分を探す旅
旅(りょ="Sojourning"):旅の在り方、自分を探す旅

構成の解説

上卦(Upper trigram)
「☲ 離(り:Li)」="Radiance":太陽・火・文明・付着する

下卦(Lower trigram)
「☶ 艮(ごん:Gen)」="Bound":山・障壁・行き止まり

山の上で火が燃えている。

山火事のイメージ、火が延焼して燃え動いていくので、旅をしているイメージにつながる。

下卦(Lower trigram)の「☶ 艮(ごん:Gen)」="Bound"が、「停止」、「止まる」。

そこに上卦(Upper trigram)の「☲ 離(り:Li)」="Radiance"は、「火」。

運命が一旦停止した状況において、次々と新しい出来事が起こる様子。

山火事が燃え移っていく様子を、旅に象徴する。

旅というのは自分の本当の居場所や、本当の在り方を探すこと。

様々な状況に一時的に滞在する中でいろんな経験をするのが旅。

自分探しは人間にとって大切なこと。

旅の時期における生き方を考察する卦(Hexagram)である。


卦辞(かじ=Explanation of the Hexagram)

「あなたは少しだけ願いがかなう。旅の時期にあることを認識してそれにふさわしい生き方をすれば、いい結果になるだろう。」

"Sojourning"

下卦(Lower trigram)は「行き止まり」を意味する「☶ 艮(ごん:Gen)」="Bound"です。

あなたは現在、行き詰まって停止しています。

あなたは悩み、そして出口を探さねばなりません。

上卦(Upper trigram)の「☲ 離(り:Li)」="Radiance"は「火」です。

「火」は、どうしようか焦るあなたの気持ちを表します。

焦りが次々と起こる様子は、火がどんどん燃え広がる様子です。

山火事のように気持ちの焦りが燃え移っていきます。

あなたは自分を見つけるためにいろいろと試さねばなりません。

あなたはいろいろな人に出会い、道を尋ね、自分が何者かを考えます。

これは旅に出ているのと同じ状況です。

人間が旅に出るのは、自分を探すためです。

自分を見つめなおすために、未知の状況の中に出かけるのが旅です。

旅先はあなたにとって未知の世界です。

用心深く慎重に旅をしなければなりません。

この卦(Hexagram)は、あなたは今は自分探しの段階なので大きな願いはまだ実現しません。

でも旅に出たときのように慎重にまた謙虚に物事を進めるのであれば、吉=いい結果が得られるでしょう。


ひと言アドバイス(象)

問題を次々と解決し、貯めこまないようにしよう

上卦(Upper trigram)である「☲ 離(り:Li)」="Radiance"の意味には、「賢く判断する」という意味があります。

火が次々と山の上で燃え移るように、刑罰をどんどん進めていきなさい、つまり問題を次々と解決し、貯めこまないようにしなさい、と易経は忠告します。

やっておかなければならないこと、相手に言っておかなければならないことは、その場ですぐに処理してしまいましょう。

旅の時期は次々と新たな状況が発生するのですから、そのつど問題は解決していくのが大切です。


爻辞(こうじ=Explanation of the Lines)

旅(りょ="Sojourning")
⚊ 6th:陽:上69(Upper9)
⚋ 5th:陰:65
⚊ 4th:陽:94
⚊ 3rd:陽:93
⚋ 2nd:陰:62
⚋ 1st:陰:初6(First6)
※上9(Upper)、65、94、93、62、初6(First6)は、易経における伝統的な各爻(こう=Line)の表記法である。ここでは漢数字(Chinese numeral)ではなく、アラビア数字にしている。

◇1st 陰 初6(First6)

「彼は旅に出かけて緊張し、出費も気にしてうろたえている。これは旅のときにはふさわしくない在り方である。彼は旅先でトラブルに見舞われたりもするだろう。」

"Sojourning"1

(※一番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)


初6(First6)は彼の旅を始めたばかり。

一番目の位置は「陽」が入るべき場所です。

本来は物事が始まる時は積極性がなければなりませんが、初6(First6)は「陰」です。

彼は気弱で覇気に欠けます。

旅に出て不安なので、出費を恐れ、旅を楽しんでいません。

しかし、旅は彼の未来への投資です。

緊張し、出費を恐れていては、彼は旅の一番大切な目的である「新しいことに出会う経験」ができません。

このようだと彼が旅に出る意味はなく、それどころか旅先で大きな災難に巻き込まれてしまうでしょう。


旅に出たなら、あなたは未知の状況の中でいろいろな冒険ができるはず。

旅に出る意味をよく考え直しましょう。


◇2nd 陰 62

「彼女は旅に出て、宿に到着する。資金は十分にあるし、若い宿のボーイの気配りのある接待を受ける。」

"Sojourning"2

(※二番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。「中庸」を意味する場所。)


62は、旅に出て、落ち着く宿に到着します。

いまのところ、彼女はお金に困っていません。

宿の若いボーイが、いろいろと気遣いして彼女を世話してくれます。

旅先を満喫し、いい結果が得られそうです。


62は「陰」、下卦(Lower trigram)の真ん中です。

中庸の美徳がある女性で、性質も従順です。

彼女は旅に必要な性質を持っています。

62と対応関係にあるのは65ですが、62と65はどちらも「陰」です。

通常は「陰」と「陰」では対応関係が発生しませんが、ここで65は従順な召使としては最適な人です。

62はまだ旅の途中なので、この爻(Line)では吉凶の判断は尽きません。

ですが状況は順調です。


◇3rd 陽 93

「彼は旅に出て泊まった宿が火事になり焼きだされる。連れていたしもべはどこかへ逃げてしまう。彼は自分らしく振舞っていたつもりだったが、危うい。」

"Sojourning"3

(※三番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。)


93は「陽」で、性質が剛毅です。

三番目の位置も「陽」が入るべき場所なので、彼はマッチしています。

三番目の位置は管理職の位置ですから、彼はしもべを引き連れて、旅先でもいばっています。

しかし今は旅の時期ですので、彼は本当は一人で旅をして、旅先で「気遣い」を学ぶべきです。

それなのに彼は、家にいるときと同じように横柄に振る舞いますから旅先でいい扱いは受けませんし、災難に遭います。

彼が泊まった宿が火事になり焼きだされます。

しもべも逃げて行ってしまいます。


今あなたがいる状況は困難な旅をしているようなもの。

あなたは管理職にあるかもしれませんが、いばらないで気遣いを学びましょう。

そうできなければ、災難がつづけてあなたに起こるでしょう。


◇4th 陽 94

「彼は、旅の途中で非常に歓待される。お金や露営する道具も手に入り、何不自由ない。が、彼は心地よくない。」

四爻 九四、旅のとき于(ここ)に処(お)る、其の資斧を得る。我心快ならず。 (九四、旅于処、得其資斧。我心不快。)

(※四番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。)


94は「陽」で、本来は積極的な冒険を求める剛毅な人ですが、彼は旅先において賓客として扱われ、おとなしくしなければなりません。

彼は旅先であるにもかかわらず、なぜかお金が入ってきたり、旅に必要な道具がすべて手に入り、なにも不自由はしていません。

ですが、ぜんぜん彼は気が晴れないのはどうしてなのでしょう。


旅は本来的に冒険です。

冒険に出て全く逆の状況にあっては、ミスマッチで居心地は悪いものなのです。

この爻(Line)が出ると、予期せぬ歓待を受け、お金が入り、資材にも不足しなくなるでしょうが、気分は悪いでしょう。


◇5th 陰 65

彼は雉狩りに行く。最初は矢を外して矢を一本失う。だが、最終的には雉を射止める。彼はそれを貢物として贈り、官職に就職する栄誉を得る。」

"Sojourning"5

(※五番目の位置は、「陽(Yang)」が入るべき場所。「中庸」を意味し、君主を意味する場所。)


65は「陰」、彼は上卦(Upper trigram)の中心です。

五番目の位置にいるので中庸な人物です。

彼は旅先で雉狩りに行きます。

最初は矢を放っても雉に当たらず、矢を失ってしまいますが、最終的には彼は雉を射止めます。

彼はその雉を土産物として王に贈ります。

王は彼の弓の腕を評価し、彼を任官しました。

彼の旅は終わります。


これは旅における最高の結末です。

矢は先行投資を意味します。

古来、旅先でその後の人生を決めるチャンスをつかんだ話はたくさんあります。

雉は旅の収穫物、成果です。

あなたが旅に出る以上は、少々の出費もありますが、それも大事な人生の先行投資ですので、いい成果をもってその後の人生に生かしたいものです。


◇6th 陽 上9(Upper9)

「鳥が、巣を焼かれ居場所を失う。旅人は最初は笑っていたが、後には泣き叫び、慌てふためく。彼は連れていた牛がいなくなってしまっていることにも気づいていない。凶である。」

"Sojourning"6

(※六番目の位置は、「陰(Yin)」が入るべき場所。属性がない場所。)


上9(Upper9)は「陽」、彼がいる一番上の位置は本来は「陰」がいるべき場所、おとなしくする必要がある場所です。

ですが、彼は剛毅で横柄です。

旅先にあるというのに、彼はまるで気遣いもせず乱暴ですから、災難が発生します。

鳥が巣を焼かれるように、彼は旅先で見知らぬ人たちに殴られます。彼は袋叩きにされます。


上9(Upper9)は、最初は旅に出て好き勝手やれると笑っていましたが、後には泣きわめき慌てふためきます。

さらに混乱の中で、彼が連れていた牛がいなくなってしまいますが、彼は牛がいないのに気が付きません。

牛は従順さの象徴です。

旅先では従順であるべきなのに、彼は従順さがわかっていないのです。

だから袋叩きに遭います。


あなたは、旅の途中にいることがわかっていません。

旅先では従順にふるまいましょう。

さもないと、大変な災難に遭うでしょう。


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